フルスケルトンリフォームという考え方

古いマンションは部屋数重視で設計されているものが多い。親子四人の標準家族を想定し、子供二人の個室と不意の泊り客(昔は親戚が泊りに来ることは多かった)にも備えるとなると、どうしても部屋数が欲しくなり、うち一つは和室が良いというのが広く行われた設計法であった。

少子高齢化の時代になってから標準家族という概念は無くなり、和室の代わりに広い洋間のリビングが求められるようになった。もっと変わったのは水回りで、大型のユニットバス、シャワー水栓付洗面化粧台、節水便器に手洗い器、対面キッチンに食洗機・浄水器などが新築マンションの定番メニューになってきている。古いマンションをリフォームする人の多くは、新築マンションの動向に敏感だ。

家族人数が時代の流れ通りに減っている世帯であれば、部屋数を減らしてでも、その面積をリビングや水回りに振り向けたいと考えるのは当たり前である。リフォームで水回りを移動することは長い間タブーとされてきた。マンションでは、浴室の上には浴室、便所の上には便所、キッチンの上にはキッチンというように縦に同じ機能を積み重ねるのが当たり前で、この原則を崩すのは良くないとされてきた。

水回りの改修といえばユニットバスの交換、便器の交換、洗面化粧台の交換、キッチンの交換というように、大きさも位置も変えずに機器のみを交換する時代が長く続いた。マンションの室内にはおおむね 3本の共用排水管が上下に貫通していて、これらは自分の所有物ではないので、移動したり撤去したりすることはできない。従って、トイレはトイレの配管に、キッチンはキッチンの配管につなぐ必要がある。だがしかしこの配管の横引きシロの範囲内で水回りを移動することはできるし、大きさだって変えることができる。こういう設計思想が広く支持されるようになってきている。

水回り全体を広げ、部屋数を減らしてリビングも大きくするというリフォームの潮流が生まれはじめている。リフォームの範囲が水回りだけに限らず住戸全体に及ぶようになると、フルスケルトンリフォームという発想が生まれる。これは構造躯体・玄関ドア・サッシだけを残して室内の内装設備を全て新しくする方法である。勿論、事前調査でまだ使える部分は残すという判断はする、逆にまだ使えるが今後 10年以内に不具合が出そうな部分は、この際、やりかえてしまうという判断もある。

フルスケルトンリフォームは新築に限りなく近い、究極のリフォームと言えるだろう。