リフォーム性能の見極め方(その4)—-熱源と省エネ

 断熱は室内で発生したエネルギーをできるだけ外に出さないために行う省エネ、そして熱源コントロールは、室内で発生するエネルギーそのものを小さくするために行う省エネである。断熱が何故省エネになるかというと、結局、熱が外へ逃げていかない分だけ、熱の発生を抑えることができるので、結局は同じことだともいえる。今日の話は、「出る」を制するから「入り」を制するへ、つまり同じ断熱性能を持った家で、熱源をどのようにコントロールをすれば、より省エネになるかについての話として聞いていただこう。

“オール電化!”、という標語が叫ばれ始めたのは何時頃からだっただろうか。IHヒーターが登場して電気でもガスに比べ遜色のない料理が作れるという認識が広まったことが一番だろう。一応2,000年位からではないだろうか。程なくエコキュートという深夜電力を使いヒートポンプでお湯を作る優れものの給湯機が開発され、従来ガスの独壇場であった調理器と給湯機の両面で対抗商品(それまで貯湯式の電気温水機は今一つ競争力が無かった)が出来たことで、“オール電化!”が夢物語ではなく、省エネ的にも有利という評判が生まれた。

ガス会社も対抗上“オールガス化!”をうたいたいところだが、そもそも家電製品を満載している現代の家で、ガス炊飯器・浴室乾燥機・床暖などはいい勝負をしているが、その他の家電製品には全く叶わない。そこで基本戦略として①おいしい料理が作れるガス調理器 ②省エネ性能に優れたガス給湯機エコジョーズ(排熱回収型) ③ガスで電気を作りながら給湯するコージェネ型のエコウィル(ガスエンジン式)・エネファーム(燃料電池式)、という3本柱で“オール電化!”に対抗することにした。

この両者、省エネ的にはなかなかいい勝負をしていたため、消費者の側から見ると甲乙つけがたく、その結果ますます勝負は過熱するということになっていった。

が3.11以降、様相はすっかり変わってしまった。電力会社の宣伝には大きな嘘が混じっていることが白日の下に曝されてしまったのである。つまり電力はクリーンだという嘘である。オール電化のメッキがすっかり剝がれてしまったわけである。電力だってできるだけ使わない方がいいはずだ。

結果としてガス会社が勝ったとは言えない所に、この問題の深刻さがある。燃料電池だって所詮“火力”で化石燃料を消費する。東京電力はオール電化推進チームを解散させたが、一方で東京ガスもオール電化に対抗する特別体制を解除した。勝負がドローになった訳でなく「省エネ」「CO2削減」というもっと大きな共通目標に立ち返って、役割分担を一層模索しなければいけないということである。

利用者の立場としてはどうであろうか。3.11以降はっきりしたことは、熱源は一つではなく、デュアルで確保する方が賢い、いや単に賢いというよりも生命維持のための必須の条件となったと言ってもよい。電気がダメならガス、ガスがダメなら電気、という構えが絶対必要だ。しかる後に、電気が得意な分野は電気で、ガスが得意な分野はガスでという使い分けが重要なのだ。

世の中にはスマートエネルギーシステムという言葉が行きかっている。再生可能エネルギーを使ってもっとローカル分散的に発電をしていかなければならない。しかしそれが、皆の需要を賄えるだけの規模で展開するまでにはまだまだ時間が掛かる。又時間的季節的な供給変動も大きく、ベーシックな熱源としては電気そしてガスに依存しなければならない。そこで、再生可能エネルギーとガスと電力とを最適にミックスして省エネを図る技術が必要になり、それをスマートエネルギーシステムと呼んでいるらしい。

最近ガス会社が作ったモデル住宅に行って、HEMS(ヘムス Housing Energy Management System)という装置を見せてもらった.液晶タブレット上で家庭内の家電、照明、給湯、冷暖房、水道などのエネルギー情報が一元的に管理(いわゆる見える化)され、迷わず最適な省エネ行動がとれるようにガイドしてくれる装置である。モデル住宅では太陽光発電、太陽光給湯、燃料電池、電気自動車、隣家との熱融通などが加わり、人の省エネルギー行動は機械に教えてもらわなければお手上げというほど複雑なものになっていた。

リフォームとこうした最新技術は意外に近いところにある。今やエコジョーズやエコキュートがリフォームの世界に入り込んでいるのは当たり前になりつつあるが、HEMSも間もなくパッケージ化されるとのことなので、すぐにでもリフォームの世界に飛び込んでくるに違いない。

装置がどんなに進歩しても、「照明は分散的に手元を狙って」「こまめに消す、止める、切る」「流し洗いはしない」「給湯レバーは必要なとき以外はしっかり留めておく」「風呂には蓋をする」「風呂には間を置かずに入る」「暖房機器は手近に置く」「エアコン設定温度は夏は高め冬は低め」「衣服で調整する」「夜更かしはしない」と、口うるさく家人に励行させる努力に勝る省エネは無い。熱源選択よりは切断が一番のようである。