◇新築が売れないなか最近では、都心の中古マンションが人気を呼び、住宅購入者が中古住宅と呼ばれる既存の住宅に、価値を見つける傾向も強まっているという。呼応するように、現時点で都内の中古マンションは、同じ面積の新築と比べて5~6割の価格水準と各種の不動産調査が伝えている。また、戸建ての中古物件もマンションほどではないにしろ、ほぼ同じ条件だろう。今は都区内の中心部だが、いずれは郊外に広がりを見せよう。

◇だが周知のごとく現実には、我が国の住宅流通市場全体に占める既存住宅は、流通量は17万5300戸で、同年の新築着工件数117万戸の15%とされ、流通シェアが13.1% であり、英88.8% 、米77.6% 、仏66.4% に比べると格段に低い。その理由の一つは、日本の住宅の価値評価を示す減価償却等の税制度にある。たとえば、「耐用年数が25年とすると、新築時に2500万円だった住宅が、1年につき100万円ずつ価値がなくなっていく計算」だ。若いときに2500万円の家を建て、リフォームを重ねて性能を維持しても、ローンを払い終える25~30年が経ち、リタイアする時期になると資産価値がゼロになる。結果、住宅投資に占めるリフォームの割合も28.7% と、英61.4% 、仏56.0% 、独51.0% と欧米に比べると極端に低いのは当然だ。

◇景気浮揚のための一過性の新築促進のためのローン減税より、まず相続税も含め住宅にかかる税制の抜本的な見直しが必要だろう。市場・ストック重視と住宅政策目標が変わり、住宅の長寿命化を推進するため、昨年末に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が公布され、住生活行政が大きく転換した。欧米並みに長期(幾世代や世帯)にわたり住んで価値が上がる資産価値住宅の実現をうたっている。新築でいかに「長期優良住宅の普及」が、一過性の施策にとどまる恐れは十分にある。というのも、「住宅に消費税」違和感を持つ欧米人に比べ、消費税もかかるなど住宅が消耗品と意識せざるを得ない日本国国民は、その購入後にリフォームなどで投資する意欲をなくしている。

◇民間では、中古住宅購入時に住宅検査こそが肝心だと、土地重視の不動産取引に代わる建物重視の改善策が、ビジネスとして提案され、昨年、インスペクション(住宅検査)を重視する専門の業界団体「日本インスペクターズ協会」設立された。購入時の不安を除くためだが、リフォームをやるにしても建物の評価が無い、後ろ向きでインセンティブが湧かない。さらに購入後の居住者にとって、どのように家の価値を上げて、さらに普段のメンテナンスやリフォーム、そして住み替えという資産の使いまわしができるようにありたい。中古住宅が注目されている不況の今こそ、住宅には資産価値がある、という意識を掻きたてる税制を含めた環境整備が必要だろう。